炎症性腸疾患について
炎症性腸疾患には大きく分けてクローン病・潰瘍性大腸炎があります。
どちらも、多くは10〜30歳代に発症する原因不明の慢性炎症性疾患です。症状は腹痛、頻回の下痢・下血、発熱、体重減少など日常生活に支障をきたすものが多く、長く放置すると貧血が進行したり、栄養障害や体力低下を引き起こしたりします。また炎症が持続している粘膜では正常粘膜に比べて発がんの可能性が高くなります。症状が疑わしい場合は、まず診断をきちんと行い、病態の把握をすることが大切です。短期的には現在困っている症状を抑え、支障なく生活が送れるようになることが目標になります。症状が落ち着き、寛解と呼ばれる状態になったあとは、中長期的な目標としてその状態が長く維持できるよう治療の継続が必要です。さらに長期的には、炎症のある粘膜を改善させ、その部位での発がんをおさえることが目標となります。症状が良くなったからといって通院や治療を自己判断でやめてしまうと、気づかないうちに再燃・持続していたり、最悪の場合には発がんして進行してしまったりすることがあります。定期的に通院を行い、いい状態が維持できているかどうかをチェックすることが大切です。
いずれの病気も難病指定されている疾患です。治療費などに助成を受けられることもありますので、診断書などについてもご相談いただけます。当クリニックでは通常使われる内服薬の他に、生物学的製剤(レミケード、ステラーラ、シンポニー、エンタイビオ、ゼルヤンツなど)や免疫調節剤(イムラン、アザニンなど)といわれる専門的なお薬での治療も可能です。長期的な視点で病気とうまくお付き合いできるようお手伝いができればと思っています。